最近、米国ワシントン州Walla Wallaでフィロキセラが見つかり、問題となっています。これまで同州では被害が出ていなかったので、霜害が心配な寒冷地にフィロキセラはいないという説まで出ていましたが脆くも崩れることになりました。フィロキセラの問題は、顕在化するまでに10ー15年の時間を要し、湿潤な気候では20年かかるとも言われます。ワシントン州の数倍もの降水量のある日本ではやり直しができないときに発覚しかねないので、リスクを回避するための接木は最重要課題です。

接木には、穂木を栽培できる土地を多様化することにも貢献しています。樹勢のコントロール、湿潤耐性・乾燥耐性、石灰岩耐性など、栽植の可能性が広がりました。また、フィロキセラに加えてネマトードと呼ばれる線虫などに対応した台木の選択も可能となりました。

台木の品種改良には、アメリカ各地でフィロキセラと共生しているブドウ樹が用いられました。最初に使われたのは、Vitis Ripariaから選抜されたRiparia Gloir de Montpellier (RG)です。これは、ラグフェイズの提供する台木のひとつとなっております。Vitis Riparia、Vitis Rupestrisに続いてフィロキセラ耐性と石灰耐性を持つBerlandieriが発見されました。現在では、これら3種を交配したものが多用されています。

台木の品種改良において大きな功績を残したのがハンガリーの苗木栽培家、Zsigmond Teleki(テレキ)です。テレキは、BerlandieriとRipariaの交配品種として台木特性に合った5BB、5C、8Bなど世に出し、日本でも多く採用されています。

RipariaとRupestrisの交配品種には、日本で人気の台木が多くあります。3306C、3309C、10114、及びSchwarzmannです。ラグフェイズもこれらを主要台木として利用しています。

BerlandieriとRupestrisの交配品種も多く利用されています。ラグフェイズの提供する1103Pは、この交配品種です。

 

台木の解説

台木はなぜアメリカ産の品種が使われるのか

台木名.1.j1フィロキセラ耐性線虫耐性耐寒性耐乾性耐湿性耐塩性石灰耐性樹勢根張り熟期LP Statusその他  
5BBberlandieri x ripariaHMHMLMM-HMM-E導入済

5BB

5Cberlandieri x ripariaHMVHLL-MMM-HL-ME導入済日本の寒冷地で人気

5C.1

5C.1

16-16Cacerifolia x ripariaHM-HLMMLM導入済

16-16C.1

16-16C.1

101-14riparia x rupestrisHM-HLLHLL-M浅いE導入済斜面下部向き台木

101-14

101-14.1

110Rberlandieri x rupestrisHLMM導入済仏第一の人気台木

110R

110R

161-49berlandieri x ripariaHMHMM導入済国内生産者より
188-08monticola x ripariaHHH導入済国内生産者より
420Aberlandieri x ripariaHLVHLMLM-HL-M導入済

420A.1

420A.1

1103Pberlandieri x rupestrisHMM-HMM-HMH導入済米第一の人気台木

1103P

1103P

1202Cmourvedre x rupestrisLHHHHH導入済国内生産者より
3306Criparia x rupestrisHLHL-MMLML-M深いM-E導入済フリー化苗育成中、NZ人気台木

3306.j1

3306C

3309Criparia x rupestrisHLVHL-MLLML-M深いM導入済仏第三の人気台木

3309C.1

3309C.1

Riparia GloireripariaHM-HM-HLMLLLVE導入済生育前倒し

RG.j1

RG.j1

Schwarzmannriparia x rupestrisHMLMMMM導入済NZの人気台木

Schwarzmann

Schwarzmann

SO4berlandieri x ripariaHML-MML-MM-HL-M導入済仏第二の人気台木

SO4

ヤマブドウ (coignetiae)MHHH導入済

ヤマブドウ

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