Teleki

5BB

Kober 5BB、Teleki 5C、SO4は1896年にVitis berlandieriVitis ripariaの交配によってできた台木です。このほか同じ親品種を持つ台木で有名なものに161-49C、420Aがあります。ベルランディエリを片親に持つため石灰岩耐性があり、ジュラやブルゴーニュ、イギリスなどヨーロッパ北西部で多用されています。また耐寒性にも優れているため、北海道でも人気の台木です。樹勢の強い順に5BB、5C、SO4、161-49C、420Aとなっています。樹勢が弱くなるとブドウの質が高いと言われていますが、フランスではブドウの供給量が需要を上回っていたため、政策的に収量を減らそうとして樹勢の弱い161-49Cが推奨されたとも言われています。

Kober 5BB

Kober 5BBは、Zsigmond TelekiとFranz Koberによって選抜されました。鉄分の欠乏した土地や多湿土壌、砂質土壌でもよく育ちます。樹勢が強く、カベルネフランやカベルネソーヴィニョンとは接木の相性が悪いと言われています。糖度やポリフェノールは低くなります。台木の中でも収量がかなり高く、ベト病への耐性があります。

Teleki 5C

Teleki 5Cは、Sandor Teleki(Zsigmondの子)とHeinrich Birkによって選抜されました。5BBに比べて標高の高い土地に向いています。鉄欠乏への耐性があります。収量は比較的高くなります。リースリングとの相性が特に良いと言われています。

SO4

SO4は、Zsigmond TelekiとHeinrich Fuhrによって選抜されました。フランスでは現在2番目に多く使われている台木です。酸性土壌や砂質土壌、粘土石灰岩土壌に適し、塩害耐性があります。耐湿性、耐乾性はあまりありません。生育は速く、最初の15年間は特に樹勢が強いと言われています。糖度が高く、酸度は低くなります。収量が高いため骨格が表れにくくなります。木が硬く、日本においてはコウモリ蛾などへの耐性があります。

Zsigmond Telekiは1854年にハンガリー・Pecsで生まれ、ヨーロッパ諸国を周ったのち、1881年に故郷に戻りVillanyに母樹畑を開きました。1896年にベルランディエリの枝をフランスの苗木屋に注文したところ、枝の代わりに種が送られてきました。これはフランスで黒腐病が流行しておりハンガリーの検疫では枝を受け付けなかったためです。またこの時送られてきた種子はベルランディエリではなく、ベルランディエリとルペストリスもしくはリパリアの交配によるものでした。テレキはこれらの種子を発芽させて色や形状からベルランディエリ、ルペストリス、リパリアに似ているものにそれぞれ分類しました。芽先の色や形状に応じて1~10の数字やアルファベットを付与し、4A、4B、5A、5B、5C等と称しました。これらを全部テストしようとしましたが、数が膨大であったためグループごとに全世界に選抜を依頼しました。この時も枝ではなく種子が送られました。種子は必ずしも親の遺伝を継承しているものではありませんが、同じものだと思われて研究が行われました。オッペンハイムには4番のシリーズが送られ、そこで選抜されたのがSO4 (Selection Oppenheim 4) です。

Zsigmondは1910年8月56歳の若さでこの世を去り、彼の遺志は息子のAndorとSandorが引き継ぎました。Sandorは1917年に5BBよりも早熟型の5Cを選抜しています。

(161-49と420Aについては後日掲載予定)

関連記事

  1. 1103P, 110R

  2. ピノ・ノワール Dijon Clones

  3. リーフロール-3に感染した木

    ウイルスとの共生?

  4. Sauvignon Blanc FPS 30

  5. カベルネ・ソーヴィニョン

  6. ラグフェイズの花見

PAGE TOP