ブルゴーニュのグランクリュは、10000本/haの植樹密度で栽培することが義務付けられています。これは他の生産地と比較すると極めて高い植樹密度です。植樹密度が高いことが果実の質を高めるという科学的根拠はありませんが、この植樹密度で栽培されたピノノワールから最高級なワインが生まれていることから、新世界の造り手も密植を試みています。
Bell Hillはニュージーランドトップのピノノワール生産者の一人ですが、9090~11363本/haの密植で栽培しています。ブルゴーニュのDomaine Drouhinはオレゴン州にも進出しワインを造っていますが、2000~4000本/haの植樹密度を7700本/haに増やしたところ品質が著しく高まったと言っています。
植樹密度を増やすと、根が競合しより深く張り母岩まで到達するので、テロワールの本質を汲み上げる効果があるとブルゴーニュでは信じられています。フィロキセラがヨーロッパに到来する以前は、プロヴィナージュ(ブドウ樹の枝の一部を土中に埋め穂先を外に出しておくと発根し、別の株として生育が始まる)で増殖していたため、30000本/haの植樹密度であったと言われています。
一方、10000本/haの植樹密度にすると、畝間に農薬散布用の機械が入ることができなくなり、作業の効率化が阻害されます。ブルゴーニュでは、樹列を跨いで散布する機械などが導入されていますが、高価なため日本では普及していません。
ブルゴーニュで植樹密度が最も高いと言われているのがHubert Lamyで、Haute Densité(高密度)の区画は20000~30000本/haとなっています。Puligny MontrachetのLes Tremblots Haute Densité 2012をテイスティングしたところ、村名畑ながらグランクリュを彷彿させるアロマとミネラルの凝縮感がありました。