人間の定住とともに作物が生まれ、ブドウも栽培化されるようになりました。野生ブドウがワイン醸造用の栽培に不向きであるのは、雌雄異株、すなわち各樹がそれぞれ雄か雌のいずれかであるためです。ブドウ畑がうまく機能するためには、数本の雄株とともに、ブドウを実らせるための雌株が必要となります。
初期の選抜では、花に雄と雌の両方の生殖器があり、自家受粉可能な雌雄同株のブドウ樹が選ばれました。雌雄同体のブドウ樹は、雄花器官と雌花器官の両方を持ち自ら受粉できるため、この選抜によって栽培が容易になりました。雌雄異株のヴィニフェラ品種はほとんど残っていません。
商業的に栽培されている雌性の品種にグルクと呼ばれるクロアチアのブドウがあり、これは雌花部分だけを持ちます。コルチュラ島で栽培されていますが、同時に開花する別の品種の隣に植える必要があります。ここでは、赤ブドウのプラヴァツ・マリが一般的に選ばれています。ハンガリーのバダチョニには、ケクニエルという雌性の白ブドウ品種があります。これは、同時に開花する別の品種(通常はブダイ・ゼルドが使用される)と交互に列を成すように畑に植えられています。フランスでは、雌雄異株のブドウの栽培は違法です。
日本のヤマブドウ(写真、日向エステートのVitis Coignetiae)は、雌雄異株です。雄株と雌株を近くで栽培し、虫などに受粉を媒介してもらわないとブドウが実らないため栽培が難しく、蜂などの害を受けやすい品種です。
ブドウは自家受粉可能ですが、アブラナ科の植物は自分の遺伝子を認識し、近親相姦しません。ブドウ樹はアブラナ科の植物に比べて遺伝的多様性が生まれにくい種です。