ピノ・ノワール、シャルドネの起源

商業的に生産されているディジョン地方のピノ・ノワール・クローンは約50種だですが、ピノ・ノワールは遺伝子的に不安定なため、世界には1万種を超えるクローンが存在すると考えられており、その多くは味があまり似ていません。それと対照的なのはカベルネ・ソーヴィニョンで、フレンチ・クローンは20種ほどです。これは、ピノ・ノワールの起源が古く、長い年月の間に、突然変異により多様な形態が生まれたためです。

ガロ=ロマン時代(BC3世紀末~AD5世紀後半)の遺跡からピノ・ノワールの根が発掘され、紀元後から4世紀までの間にはブルゴーニュ・コートにブドウが存在していたことが分かりました。ローマ帝国の農学者コルメラが紀元1世紀頃に書いたブドウの記述はピノ・ノワールに酷似しており、ピノ・ノワールは少なくとも2000年前、ローマ人がブルゴーニュにやってきた頃からすでに栽培されていたとされています。14世紀にヴァロワ侯爵が強い影響を与えたという説や、ブルゴーニュの野生のブドウ樹が連続的な突然変異を起こしたものだという説、また、ロンゴバルド族の侵入によってもたらされたとする説もあります。

シャルドネは、ピノとグーエブランの交配品種なので、起源はグーエがフランスに持ち込まれた3世紀より後であることは確かです。ピノ・ブランやムロンなど他の品種名とまぎらわしく、名前からシャルドネが最初にあらわれた時期を特定するのは困難です。1300年代までに独立した品種になっていたことはわかっていますが、300年ごろに誕生していた可能性もあります。

出典:レミントン・ノーマン『ブルゴーニュのグラン・クリュ』(訳・日向理元)

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