フランスにおける台木の変遷

フランスでは、苗木商が提供する台木の栽培面積の統計値がサイトplantgrapeに公表されています。1945年から2015年までの数値をグラフ化しました(トップ10に登場した台木のみ)。したがって、当社で扱っている1616Cおよび5Cは外されています。

全体的に台木の生産量が減少していることが読み取れます。45-65年まではトップ生産量を誇っていたRupestrisの生産量は大きく落ち込み、現在では17位に後退しています。

現在、最も多く栽培されている台木は110Rです。これは、カベルネなどボルドー品種との相性がいいとされ、ボルドー一帯をはじめ南フランスで多用されています。

次に利用されているのがSO4です。比較的樹勢も強く、石灰岩耐性もあるのでブルゴーニュを中心とする地域で使われています。

現在第3位に位置するのが3309Cです。ベルランディエリを親に持たないため、石灰岩耐性は弱いとされていますが、樹勢が抑えられ根が深く張る特徴を持っています。高品質のブドウを生むにはふさわしい性質と言われています。

Fercalは、95-05年にかけて、シラーの人気に合わせて生産量が著しく伸びた台木です。INRAが1959年に作出したもので、ベルランディエリと31Rの交配品種です。石灰岩耐性があるので注目されたようです。シラーとの活着が良好と言われています。

Gravesacは、樹勢が抑えられている3309Cと、石灰岩耐性のある161-49の交配品種です。収量と品質がともに高いので人気を博しています。

140Rは現在第5位となっています。ルペストリスのベルランディエリの交配品種で、110Rおよび1103Pとは両親が同じなので兄弟関係にあります。生産量は減っているものの、人気は持続しています。

現在第6位の41Bはシャスラとベルランディエリの交配品種です。Vitis Viniferaが片親として使われている例はそれほどありません。糖度は抑えられ、酸は高めになります。

アメリカで人気の101-14、1103Pは、フランスでは大きくは取り上げられていないようです。また、日本で多用されている5BBも、フランスでは50-60年代の人気をピークに落ち込んでいます。

(写真は110R)

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