ブドウの木に影響を与えると言われているウイルスは多様な形で伝染します。昆虫によって媒介するウイルスの種類も異なります。また、伝染する速度も異なってきます。リーフロール-3のウイルスが畑に出現してから、3年間で畑の大部分に広がるとの研究結果もあります。防虫剤などを駆使することによって感染を予防することはできますが、ひとたび感染すると、ブドウ木を引っこ抜くしかありません。
ルペストリス・ステムピッティングやフレックは、単体ではブドウの生産性に影響を与えないと言われています。そのため日本の植物防疫所は、昨年よりこれらのウイルスに感染している苗木の輸入を認めています。
また、ニュージーランドで珍重されているシャルドネのメンドーサ・クローンは、リーフロール-1のウイルスのおかげで顆粒の小さい秀逸なブドウが造られます。
仮に全てのウイルスを悪とすると、感染した全てのブドウ木を抜かなくてはいけないためブドウ農家の生計が成り立たなくなってしまいますが、いくつかのウイルスとは共生を探る可能性を探る必要があるかも知れません。