台木はなぜアメリカ産の品種が使われるのか

ヨーロッパに生息していたブドウの種はヴィティス・ヴィニフェラ一種類ですが、北米大陸には数多くのヴィティス種が存在しています。ヴィティス・リパリア、ヴィティス・ルペストリス、ヴィティス・ベルランディエーリ、ヴィティス・ラブルスカ、ヴィティス・コロラド、ヴィティス・カリフォルニアなどです。これは氷河期における両大陸の地形が影響していると言われています。

ヨーロッパでは、アルプス山脈や地中海など生態系の往来を阻む地形が東西に走っていたため、氷河期に行き場を失った多くのヴィティスが絶滅しました。ヴィティス・ヴィニフェラが唯一生き残ったのは、温泉地などの特殊な環境に生息していたからと考えられています。

一方、北米大陸では、ロッキー山脈やアパラチア山脈などが南北に走っていたため、氷河期においても植生は寒暖に合わせて南北に移動することが可能でした。そのため交雑も進み、多様なヴィティスが共生する環境が生まれたと言われています。

耐性が弱いヴィティス・ヴィニフェラを生かす接木には、交雑して多様な耐性を備えた北米大陸のヴィティスを台木に使うことが必要となってくるのです。

近年では、カリフォルニア州南部で猛威を振るったピアス病対策として、ムスカダイン・ロトゥンドフォリアという耐性のあるヴィティスを使った品種改良が脚光を浴びています。

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