ブドウ属の相関と、各Vitis種の伝来を重ね合わせてみました。(https://vivc.deのマイクロサテライトデータをもとにエクセル関数で作成)
ベルランディエリ、リパリア、ルペストリスはいずれも北アメリカ大陸で進化したブドウ属で、ユーラシア大陸に生息するVitis種とは大きく異なっています。リパリアとルペストリスはともに米国東海岸に生息する野生種で、両者の遺伝特性は似通っています。一方、ベルランディエリは、テキサス州からメキシコ一体の石灰岩性土壌に生息しており、リパリアおよびルペストリスとは性質が異なっています。
ドイツからフランスにかけて栽培されているリースリング、ピノノワール、サヴァニャン、カベルネフランは、きわめて遺伝特性の相関が高くなっています。
南ヨーロッパの品種を見ると、スペイン・ガリシア地方のメンシア、イタリア・トスカーナ州などのサンジョヴェーゼ、ギリシャ・サントリーニ島のアシルティコの相関が高いことが興味深くうつります。ヨーロッパの交易でギリシャからイタリアを経てスペインに到達したことが推論できます。また、スペインのテンプラニーリョ、イタリア・ピエモンテ州のネッビオーロ、ギリシャ起源のマスカットにも多少の相関の強さが読み取れます。
ワイン用ブドウVitis Viniferaの起源は、ジョージアに近いと言われています。遺伝特性を見ても、ジョージアの3品種・ムツヴァネ、サペラヴィ、ルカステリの相関は高く、ヨーロッパのVitis Viniferaとも類似しています。アメリカの台木用3品種とは大きく異なっています。一方、中国のAmurensisは、どの品種とも相関が低く、独立した特徴があります。
甲州(写真)は、Vitis Viniferaが日本に伝わるまでにVitis Amurensisと交配をし、遺伝特性は3/4がVitis Vinifera、1/4がAmurensisといわれています。これを裏付けるように甲州の遺伝特性はVinifera、Amurensisと相関が高くなっています。