19世紀後半にフィロキセラがヨーロッパに渡り、ブドウ畑に壊滅的な被害を与えました。しかし、ポルトガルのコラレスは、フィロキセラの被害に遭うことはありませんでした。これは、コラレスの土壌が砂質であるためでした。
また、モンペリエの南西60キロに位置するヴァサルも砂質土壌で、フィロキセラの被害がありませんでした。そのため、ヴァサルには試験農場が造られ、50ヶ国から集められた2600種のブドウ木(遺伝子型7500種)が栽培されてます。
砂質土壌は、水はけがよく根腐れが起こりにくいため、ワイン栽培に適しています。またフィロキセラが成長できないため被害がなく、自根で育てることが可能です。接木の必要がなくなり、ヨーロッパブドウの根域の特徴を生かした栽培ができます。
一般に、アメリカブドウの根は浅く広がり、ヨーロッパブドウは根を深く張ります。ブルゴーニュの土壌は、表土の成分は多様ですが、母岩は石灰質です。根を深く張ることで、テロワールの特徴がブドウに現れると言われています。砂質土壌の自根木では、プレフィロキセラの再現ができるかも知れません。
また、砂質土壌は有機レベルが低いことが特徴です。生育を促すために施肥が必要となりますが、病原菌や病害虫が生育しにくい環境でもあり、ウイルスなどの罹患リスクは減少します。乾燥した気候においては、灌水設備などが必要です。
ラグフェイズは山形県酒田市黒森の砂丘地にブドウ畑を所有しています。砂質土壌を生かして、一部自根のブドウ木を生育しています。