イタリア品種の遺伝特性

イタリア品種間のSSRマーカーの相関係数を算出してみました。相関関係の高低が数値化されるので、興味深い結果となりました。(https://vivc.deのマイクロサテライトデータをもとにエクセル関数で作成)

シチリアのネレッロマスカレーぜは、一般的なイタリア品種とは一線を画した、ピノノワールに似た繊細なワインとの印象を持っていました。しかし、サンジョヴェーゼ(写真)の子孫であることを知ったので、その他のイタリア品種との関連性を調べてみることにしました。

サンジョヴェーゼと相関関係が高い品種は、イタリア全土から広く見つかりました。ネレッロマスカレーゼ、マルツェミーノ、ガルガーネガ、ヴェルメンティーノ、サグランティーノ、テロルデーゴの遺伝子は、サンジョヴェーゼと強い相関関係にあり、味わいも似ています。

一方、ネッビオーロ、カナイオーロ、フィアーノ、コルヴィーナヴェロネーゼ、アリアーニコは、前者ほど強い関係にはなく、味わいも独自のものを持っている印象があります。

カナイオーロは、トスカーナ州などにおいてサンジョヴェーゼに次いで多く用いられる品種です。遺伝的にはサンジョヴェーゼとは相関関係が低いですが、サンジョヴェーゼとのブレンドとして利用されることもあります。ブドウの個性の違いを利用してブレンドが行なわれているのでしょうか。

サルジニア島で有名なフィアーノ、南イタリアの高貴品種アリアニコ、アマローネに用いられるコルヴィーナヴェロネーゼの3種は、他のイタリア品種との相関関係が薄く、どれも個性的なワインになっています。テロワールの違いに加えて品種の特性に由来しているとも言えます。

イタリアを代表するワインにバローロとブルネッロがあります。バローロはネッビオーロから作られ、色調は薄めで酸味とタンニンが豊かなワインとなります。一方のブルネッロはサンジョヴェーゼから作られ、赤系果実の芳香を有しネッビオーロに比べると酸味もタンニンも控えめなワインとなります。この2品種の遺伝子の違いがワインにもあらわれているのかもしれません。

ラグフェイズでは、遺伝特性の違いを参考にして今後もさまざまな品種を輸入していきたいと考えています。

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