ブドウ栽培の偉人たち – 5 アントワーヌ=フォルトゥネ・マリオン

アントワーヌ=フォルトゥネ・マリオン(1846-1900)は、地質学、動物学、植物学に造詣の深いフランスの博物学者です。

エクサン・プロヴァンスで画家ポール・セザンヌの学友だったマリオンは、1880年にマルセイユの自然史博物館の教授兼館長になりました。セザンヌは1866年から1867年にかけて、バスティード・デュ・ジャ・ド・ブーファンで彼の肖像画を描いています。マリオンは、1878年にマルセイユ市からの資金援助を受けて海洋研究所を開設し、1882年にはエンドゥーム海洋基地を建設しました。

マリオンは13歳の時、石膏採掘場で見つけた植物の葉の化石を地元の古生物学者ガストン・ド・サポルタに渡しました。それからサポルタとは親交があり、1862年に彼の推薦で研究者となり、植物学の分野でも共同研究を行いました。動物学者としては、分節性海虫、地中海の自由生活回虫、ネマータ類、ワムシ類、ゾアンタリア類、アルシオナリア類、甲殻類に寄生する寄生虫、エンテロプヌスタ綱の研究などを行いました。

フィロキセラとの闘いにおいては、二流化炭素による殺虫の方法を考案しました。フランスの多くのブドウ畑を救い、その功績はフランス政府および外国政府から表彰されました。イタリア、ポルトガル、西ヨーロッパでもこの方法が使われました。しかしながら、化学的な対処法には限界があり、アメリカブドウ樹を台木として用いる接木に関心が移っていきました。現在では、植物検疫においてフィロキセラの水際対策として化学的な方法も用いられています。

彼はまたアマチュア画家でもあり、1866〜1870年にかけて描いた絵画『村の教会』は現在フィッツウィリアム博物館に所蔵されています。

写真はセザンヌの絵画『シャトー・ノワールの庭の中』

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