遺伝子から見た、ピノの突然変異メカニズム

ニュイ・サン=ジョルジュの畑

1930年代、ブルゴーニュのニュイ・サン=ジョルジュの生産者アンリ・グージュは、クロ・デ・ポレの黒ブドウ畑でピノ・ノワールのある枝の先が全て白ブドウ(ピノ・ブランの一種。のちにピノ・グージュと命名)になっていることを発見しました。初めは一つの枝についていた白ブドウが、やがて樹全体に実るようになりました。グージュはこれを2.5haの広さの畑に繁殖させ、ニュイ・サン=ジョルジュ・ブランとして生産しています。

ブドウの染色体は1~19番までの染色体が2本ずつ、計38本あります。着色をつかさどる染色体が一本の染色体に入っていれば黒ブドウ、両方に入っていなければ白ブドウとなります。

ピノ・ノワールの着色遺伝子(VvmybA1)には、不着色のDNAと着色のDNAが対になっています。ピノ・ブランの着色遺伝子では、着色のDNAが変化して着色機能が失われています。

植物体を構成する細胞に突然変異が起こり、その細胞のみから構成される枝は「枝変わり」したことになります。枝変わりした枝を接ぎ木すると、突然変異後の品種が生育し続けます。

ブドウの接ぎ木は、ローマ時代から行われていました。突然変異後に接ぎ木することは古来から容易だったと言えます。不着色→着色の突然変異例もありますが、ほとんどは黒ブドウから白ブドウへの突然変異だと言われています。

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