最近、ワイン造りへの新規参入者からアドバイスを求められることが多く、経営規模についてコメントします。
UCデイヴィスの授業(2013)では、家族経営に必要なワインの生産本数は年間3500ケースと教えています。当時の為替レート100円、ワインの価格は5000〜10000円を前提とすると、年間の売り上げは2〜4億円を想定しています。
この売上高は高いと思われるかもしれませんが、醸造所やブドウ畑の投資費用および維持費用、人件費、販売促進費用などを含めると適正な水準と言えます。
3500ケースは約3万リットルに相当します。単位面積あたりの収量は目指すワインの種類によって大きく異なります。ブルゴーニュのピノノワールのグランクリュは3500L/ha、シャンパーニュでもその倍程度です。ルロワに至っては1500L/haと驚異的です。
ピノノワールの世界でグランクリュ並の収量制限を行うとすると、約8.5haの畑が必要になります。日本でこの規模の畑を保有している生産者は少数です。経営の持続性を考えると、まだまだ畑を拡張しなくてはいけないと思われます。
植樹密度をブルゴーニュ並の10000本/haの密植とすると85000本必要となります。同じ広さの畑に、一文字短梢の棚仕立てで一本あたりの栽培面積を20㎡としても4250本(500本/ha)必要となります。
比較的安価な品種を用いる場合は、収量は増えるものの販売価格も安価になってしまうので、その場合も同規模の畑が必要と考えます。