1103Pと110Rは、berlandieriとrupestrisの交配によってできた台木です。乾燥耐性、石灰耐性があり、樹勢は非常に強くなります。年間254mm以下の雨量の地域、また石灰土壌に適しています。
1103Pは苗木商のFederico Paulsenが1896年に選抜したものです。Paulsenは、イタリア・シチリアを中心に樹勢が強く石灰耐性のある台木を探していたところ、この台木に辿り着きました。降雨量が年間250mmと少ないシチリアの気候はアメリカのパソ・ロブレスと似ています。現在アメリカでは最も多く使われる台木の一つです。塩害耐性があり、酸性土壌に適しています。シラーと相性がよく、テンプラニーリョとは合わない台木です。アメリカでは樹勢が強いと言われていますが、フランスでは弱〜中程度とも言われています。
110RはFranz Richterにより1902年に南フランスで選抜された台木です。南フランスは石灰岩土壌であったため、石灰耐性のある台木を必要としていました。収量は低〜中程度で樹勢は強く、生育速度は遅くなります。カベルネソーヴィニョン、グルナッシュ、マスカットブラン、テンプラニーリョと相性が良く、シラー、ピノとは活石灰岩が増えると収量が減るため、相性が悪くなります。耐湿性はありません。年間500~750mmの雨量がある南フランスに適しており、フランスでは現在最も多く使われている台木です。