PIWIとResDur

PIWIは、ピルツヴィーダーシュタンズフェーイゲ(Pilzwiderstandsfähige、ドイツ語表記の略称「ピーヴィ」と呼ぶ)の略で、耐カビ性として特別に育成された、ゲノムの85%以上がヴィティス・ヴィニフェラのブドウ品種です。そのため、PIWIはハイブリッド品種とは異なり、国によってはV.ヴィニフェラとして掲載しているカタログもあります。ミュスカリス、ソーヴィニエ・グリ、ソーヴィタージュ、ソーヴィニャック、サトゥルノワ、ドナウ・リースリングなどがあります。

また、長い間ハイブリッドに反対してきたフランスでは、 ResDur(Resistance Durable、フランス語の略称、「レズデュ」と呼ぶ)プログラムによって生産された品種が使われています。ResDurは1970年代に始まった育種プロジェクトで、耐性遺伝子をピラミッド型に配置し、それぞれの新品種が少なくとも2つの耐性遺伝子を持つことで、病害菌の耐性が発達しにくいようにするというものです。

現代の育種プログラムに役立っている比較的新しい技術のひとつが、遺伝子マーカーを使用した選抜です。以前は、品種改良の成果を見るためには、ブドウ樹を数年間育てて収穫を見て、求めていた耐性を保持しているかどうかをテストする必要があり、時間がかかりました。必要な遺伝子がわかっていれば、遺伝子マーカーを使って交配種を試験し、その遺伝子の存在を調べることができるため、プロセスが短縮されます。ResDurプログラムは、新品種がうどんこ病とべと病耐性のR遺伝子をそれぞれ1つずつだけでなく、2つか3つずつ持つようにしました。このように複数の耐性遺伝子を持つことはスタッキングと呼ばれ、耐久性があり、病原菌に回避されることがありません。べと病についてはRpv1、Rpv3、Rpv10を、うどんこ病についてはRen1、Ren3、Ren3.2を確認しています。その結果、2018年には新たにアルタバン、フロレアル、ヴィドック、ヴォルティスの4品種が登録されました。さらに、2024年までには約20品種がリリースされます。

ヴォルティスは、シャンパーニュで8番目に認可されたブドウ品種です。試用期間は10年間で、ブレンドの10%以上を使用することはできません。ResDurプログラムによって開発された品種のひとつで、うどんこ病とべと病両方の耐性遺伝子を持ちます。ヴォルティスは、シャルドネよりも芽吹きが遅く(霜のリスクが少ない)、収穫もやや遅めで(気候変動に対する保険となる)程よい酸味があります。

写真は、アルタバンとヴィドックで造られたNUVOTÉ(「新しいこと」を意味するフランス語のnouveautéに由来)。

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