シャトー・ラフィットでは、ブドウ畑での銅の使用を減らすための代替手段を研究しています。研究開発グループ責任者のマヌエラ・ブランドによると、現在ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドのすべての畑は有機または有機転換中であり、「銅は最善の方法ではない」と認識しています。2021年には雨が多く、銅を15回散布しましたが、「多すぎる」とブランドは述べています。
対策のひとつとして、ブドウを雨から守るプラスチック製カバー「ヴィティ・トンネル」を導入し、カビ対策に取り組んでいます。ヴィティ・トンネルは雨天時のみ開く自動式のプラスチック傘のような装置で、2022年は6日間開きました。トンネル下の列では銅を使わず被害も発生しなかったそうです。ブランドは「4年間の試用の結果、銅を使わない唯一の有効な方法がこれでした。ただし、見た目が美しくないことと、AOP(原産地呼称制度)が使用を認めていない点が課題です」と話しています。
多雨多湿な日本ではすでに各種レインカットが導入されていますが、開閉式にすることで晴天時の太陽光のロスを防げることは大きなメリットです。もっとも、資金力のあるラフィットならではの自動開閉式なのかもしれません。
(写真は、ハウスで育苗されるMencia FPS02。雨よけは完璧ながら高音障害にさらされます。)
詳細は、『新ブドウ栽培学』第4章に記載されています。