ブルゴーニュにおけるクローンの選択

ブルゴーニュでは、どのようにして苗木のクローンを決めるのか。『ブルゴーニュのグラン・クリュ』第10章に詳しい記載があります。

現在、ブドウの接ぎ穂には、購入したクローンや、同じ畑で選抜された枝(マッサル選抜)が使われています。ブドウは同じ遺伝系統に属しますが、性質は多様です。1960年代にクローンが導入されて以来、多くの品種が選ばれ、当初は生産性とウイルス耐性が重視されました。現在では、品質を重視し、収量が少なく房が小さく、果実が密にならないタイプが理想とされています。房がゆるいほうが病害を防ぎやすく、結果として健全で高品質な果実が得られるためです。

クローンを単一にするか、複数を混ぜるかは今も議論が続いています。単一クローンはテロワールの特徴を明確に示す一方、複数クローンを混ぜると香りや味に複雑さが加わるとされています。ブルゴーニュでは、病害対策として複数クローンを混植するのが一般的です。生産性と品質の関係は単純ではなく、高収量と低収量のクローンを組み合わせるのが最良の結果をもたらすといわれています。クローン選抜は品質を高めますが、畑の条件や醸造の不備を補うものではありません。

一方で、ロマネ=コンティやデュジャックなどの一流生産者は、クローンを使わず、畑の中から最良の樹を選び増やす「マサル選抜」を採用しています。これは土地の個性を反映しやすく、収量を抑えて自然な濃縮感を得る利点がありますが、病害に弱い面もあります。それでも健全な樹を選ぶことで、その土地に最も適した系統を保てます。

ブルゴーニュの偉大なワインには、長い歴史の中で優れた樹を選抜し、多様な系統を受け継いできた背景があります。古い系統は「かけがえのない遺産」とされ、苗木の多様性を維持する重要性が強調されています。生産者たちは、果実の成熟の均一さや小粒な房、風通しの良い形を基準に選抜を続けており、こうした積み重ねがブルゴーニュの品質を支えているのです。

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