サヴァニャンは、フランス・ジュラ地方で造られるヴァン・ジョーヌの原料となるマイナー品種と思われがちですが、フランス東部・ドイツ南西部・イタリア北部で古くから栽培されており、突然変異したものを含めるとメジャーな品種とも言えます。
サヴァニャンには多くのクローンが存在します。ゲヴェルツトラミネール(アルザス、ドイツ)、トラミネール・ヴァイザー(ドイツ)、トラミネール(ドイツ、イタリア)、ハイダ(スイス)は、名前や形状、アロマなどが異なるものの、遺伝子的には同一の品種とみなすことができ、差異はクローン程度のものと言われています。ドイツでは、トラミネールはサヴァニャン・ブランとサヴァニャン・ロゼの両方を指し、トラミネール・ロットもしくはロザー・トラミネールは、サヴァニャン・ロゼとゲヴェルツトラミネールの両方を指します。
サヴァニャンは西ヨーロッパにおける最も古い品種の一つで、フランス北東部及びドイツ南西部で生まれたと言われています。サヴァニャンの出自には諸説あり、ピノと他品種の自然交配、古い品種同士の自然交配、あるいは野生ブドウの栽培(サヴァニャンがピノの親である説)、などです。
サヴァニャンは多くの子孫を残しています。シャンパーニュのプティ・メリエは、サヴァニャンとグーエ・ブランの交配品種です。南西フランスのプティ・マンサンはサヴァニャンの子品種、グロ・マンサンは孫品種になります。また、ロワールのシュナン・ブランやソーヴィニヨン・ブラン、ドイツのシルヴァーナー、オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー、ポルトガルのヴェルデーリョなどの片親はサヴァニャンです。
ラグフェイズでは、以下のクローンを提供しています。
Gewurztraminer 47:フランスで選抜された質の高い果実が取れるクローンです。収量は低〜中程度、房が小さく糖度は高めです。
Gewurztraminer 1075:フランスで選抜された質の高い果実が取れるクローンです。樹勢が強いため、山麓の表土が薄い土地での栽培が向いています。
Gewurztraminer 1106:ニュージーランドで選抜されたクローンです。豊産で、房の密度は低く顆粒は小さくなります。比較的耐病性はありますが、徐葉によって風通しを良くすることが必要になります。