カリフォルニア・ナパのオークヴィルは、高品質のワイン用ブドウ、特に黒のボルドー品種の生産において、カリフォルニアでトップのAVAの1つとして広く認められています。新世界のカベルネの最高峰のひとつ、OPUS ONE、Robert Mondavi、Heitz Cellars、Far Nienteはオークヴィルにあります。UCDのオークヴィル・ステーションの畑もここにあり、有名なTo Kalon Vineyardのすぐ隣に位置しています。
カベルネは、1852年にフランスの苗木商アントワンヌ・デルマによりカリフォルニアのサンタ・クララ・ヴァレーに持ち込まれました。
1880年頃にジョン・ドラモンドにより、ボルドーのシャトー・マルゴー、ラフィット・ロスチャイルド、エルミタージュからカベルネの枝が輸入され、ソノマのダンフィラン・ヴィンヤードに植えられました。 1880年代中頃にはソノマやナパで広く栽培されています。
カリフォルニアには、1891年頃にフィロキセラが到来し、ブドウ畑は壊滅的な打撃を受けました。接木などによりフィロキセラ問題が解決した後も、カベルネに適した土地がなかなか見つからず、収量は低く栽培は容易ではありませんでした。しかし、カリフォルニア大学の科学者E.W.ヒルガルドとフレデリック・ビオレッティは、カベルネを熱心に研究し、低収量だが傑出した香りとバランスの良い味わいが醸されることを栽培者に推奨しています。
ハロルド・オルモは、1934年にUCDでクローンの選抜を開始しました。1939年にオルモが最初に特定したカベルネの木は、ソノマのグレン・エレン(ダンフィラン・ヴィンヤードの近隣)にあるチャールズ・クンデのブドウ園からのものでした。 当時クンデは酪農を営んでいたため、ブドウの木は禁酒法の規制を逃れることができました。
その後オルモは、ナパのラークメッド・レーンでカベルネの最初のクローン選抜を行い、1939年にカベルネを接木しました。第2段階の選抜は樹齢5〜8年のオークヴィル・ステーションの木に対して行われ、5つの優れたクローンが選抜されました。このクローンはオークヴィル・クローンとして知られ、そのひとつがCabernet Sauvignon FPS 02です。全ての疾患について陰性であったため、そのままリリースされました。FPS 02は低収量で房が軽く、心地よい酸が特徴です。
カベルネは、カリフォルニアでシャルドネに次いで多く栽培される品種となり、2018年までに65のクローンが選抜されています。
オークヴィル・ステーション:https://blog.goo.ne.jp/vino_masa/e/ca74d00351cef781cabbd37111f72b9b