マーク・クラスナウによる雑草対策についての考察

ニュージーランドのブドウ栽培は、地理的に孤立しているため人手が不足し、労働コストが高いことが大きな課題です。そのため、限られた人員で効率よく作業を進めるために機械化が進み、同国は長年、ブドウ畑の機械化で世界をリードしてきました。しかし現在でも労働力は限界まで使われており、課題は続いています。

除草剤を使わずに機械で雑草を管理することは、現実的には非常に難しいとされています。まず、除草用の機械は高価で(約2~5万ニュージーランドドル)、作業にも時間がかかります。草刈りは農薬散布の倍の時間が必要で、除草剤よりも雑草の再生が早いため、作業回数も増えます。さらに、有機栽培の畑では幹や支柱の周りを手作業で除草しなければならず、これが大きなコスト増につながります。

また、除草剤を使わないと果実が小さくなり、収量が2〜3割減ることも報告されています。高価格ワインを造る大規模ワイナリーなら負担できますが、個人農家にとっては深刻です。多くの農家はブドウの販売が主な収入源であり、費用の増加と収穫量の減少を同時に受け入れる余裕がありません。有機ブドウは付加価値があるものの、現在の市場では価格プレミアムが十分でなく、特にニュージーランドの主要輸出品である白ワインでは顕著です。

つまり、経済的な理由から除草剤に頼らざるを得ないのが現状であり、今後は除草剤を使わない栽培でも採算が取れるような仕組みづくりが求められています。

(写真は、ラグフェイズで使用している自走式ハンマーモア)

詳細は、『新ブドウ栽培学』第17章に記載されています。

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