ブルゴーニュでは、SO4、110R、3309C、ファーカル、161-49C、41Bのわずか5種類の台木がブドウ畑の95%を占め、ブドウの台木の多様性不足が深刻な問題となっています。フランスでも、SO4、110R、3309C、グラーヴサックなど6種が全体の75%を占めています。こうした中、ベリヨン社のトマ・ドルムグリ氏は、気候変動に対応するため台木の「多様性こそが未来に必要です」と語り、①種間交配で新しい台木を作ること、②過去に使われなくなった台木を再評価することの2つの方法を試みています。
19〜20世紀初頭にかけて数千種類の台木が作られましたが、現在ではその多くが使われていません。ベリヨン社では、これらの台木を育て、接ぎ木適応性・フィロキセラ耐性・土壌や気候との相性を長期的に調べています。結果が出るまでには約10年かかるといわれます。
この課題に対し、INRA(国立農業研究所)は55種類の台木を使って乾燥耐性や樹勢、石灰耐性などを研究するGreffAdaptプロジェクトを進めています。こうしてフランスでは、台木の多様性を取り戻し、将来の気候変動に備える取り組みが少しずつ進められているのです。
詳細は、『新ブドウ栽培学』第6章に記載されています。
(写真は、ラ・ペピニエールで繁殖中のGravesac 264 ENTAV-INRA®︎)